甘利 明
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知財立国宣言の要約
             - 知的創造スパイラルによる日本の再生を目指して -

自由民主党知的財産関連合同会議提言

1 知的財産を意欲的に生み出す環境
  (1) 科学技術基本計画の的確な推進
  (2) 産学官連携等研究開発システムの改革
  (3) 企業の知的財産活動に関わる改革
2 迅速かつ的確な権利登録と強固な保護
  (1) 迅速かつ的確な権利登録
  (2) 強固な保護
3 商品化・製品化を通じた活用と社会への還元
  (1) 企業の戦略的対応
  (2) 知的財産の流通の促進
  (3) 知的財産権の証券化への試行
  (4) 知的財産のディスクロージャー
4 知的創造スパイラルを支える人材基盤
  (1) 国民意識の改革
  (2) 知的財産関連専門人材の育成
5 知的財産戦略大綱の策定と知的財産基本法の制定

 

今、我が国の競争力の凋落は著しい。

戦後 50年間、日本が一貫してキャッチアップ型の経済社会システムをとり続けた結果、生活水準の向上が実現する一方、それにつれて産業の高コスト構造が定着し、従来の制度設計では立ち行かなくなってしまったのである。国民生活の安定と向上が政治の目的である以上、賃金を下げることによって高コスト構造の是正を図り、以て競争力を強化しようとする選択は本末転倒である。たとえ高コストであっても勝ち抜ける産業構造をつくりあげることこそ、日本の目指すべき方向である。そのためには他の追随を許さない、真似のできない、そして真似をすればロイヤリティーを支払わねばならない独創的英知、つまり 「知的財産権」 で武装した経済社会を目指さねばならない。

知的財産とは、特許や著作権、種苗育成者権のみならず、製造工程や営業上の秘密、いわゆるノウハウまでを含む幅広い創造的な産物である。 「知的創造スパイラル」 とはそれらの英知を意欲的に生み出す環境を整え、その権利登録を迅速かつ的確に行い、登録された権利を強固に保護し、そして、その権利の積極的商品化・製品化を通じての社会への還元・活用へとつながる一貫した体制であり、そこで得られた利益は権利者に還元され、再び新たな知的創造へとつながるものである。つまり、知的財産の創造、登録、保護、活用がスパイラル的に拡大していく社会こそが日本の目指すべき方向である。キャッチアップ型社会からフロンティア型、創造型経済社会への基本設計図の書き換えを、我々は 50年ぶりに行なわなければならない。これこそがまさに構造改革である。

そのため、我が党は、まず、画一的平均点型社会から、個性重視、天才育成型社会の形成へと政策を転換していかなければならない。このことは教育をはじめ根底から日本社会を組み立てなおすことを意味する。これからは、事前規制・調整型社会から原則自由、自己責任型社会への転換を図らねばならない。メガコンペティションの時代に生き残るためには生産性の低い分野から高い分野へ、人・モノ・金・情報も大胆にシフトしていかねばならない。 平成 14年度予算はその哲学が緒についた。ライフサイエンス、IT、環境、ナノテクノロジー等々、これからの時代を担う分野に大胆に予算を投下していく。そして、これらを 「大学発ベンチャー1000社」 構想などへとつなげ、新規産業や雇用の確保の実現を目指さなければならない。そして、なによりも我が国が魅力的な国家になることが必要である。世界の頭脳、資本が目指してくる国家、創造性豊かな人材が澎湃と育つ国家にならなければならない。全てを戦略的に取り組むべき時が来た。我が党は、政治の強いイニシアティブのもとに積極的な改革を推進し、国民の意識改革とあいまって21世紀の新しい産業国家を築いていく決意である。

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1 知的財産を意欲的に生み出す環境

(1) 科学技術基本計画の的確な推進

我が国の将来を担う先端科学技術の開発については、「科学技術創造立国」の実現に向けて、5年間で 24兆円の公的資金の投入により、基礎研究と重点 4分野を中心とした研究開発を行うこととしている。知的財産の観点からも、基幹技術につながる特許を生み出すような創造的な研究開発の実施、産学連携や日本版バイ・ドールの運用などの改革が求められている。4分野の国際競争は激化しており、早急に先端技術の開発に最適な体制、制度の構築を図らねばならない。また、国の研究開発戦略の策定に当たっては、膨大な特許情報の蓄積を十分に活用するとともに、個別の研究テーマの設定に当たっても、特許権の設定状況などに関する十分な事前調査に基づく戦略的な対応が必要である。

(2) 学官連携等研究開発システムの改革

基本特許のもとともなる多くの技術シーズが存在する大学において、我が国の特許出願は米国に比し極めて少ない。また、産学連携が米国のように円滑に進展しない。その背景として、前者については、[1] 知的財産関連費用の負担に対応しうる資金供給システムが構築されていないこと、[2] 知的財産関連の事務処理体制の脆弱性、[3] 論文重視・知的財産権軽視の学内文化・風土等が指摘されている。また、後者の要因としては、[1] 研究開発成果の帰属、管理が不明確、[2] 共有特許についての一般的な実施ルールの未整備、[3] 日本版バイ・ドールを適用している省庁が一部の省庁のみに限られていること、[4] 国家公務員倫理法等による企業と国立大学研究者のベンチャー立ち上げへの戸惑い等が指摘されている。これらについては以下の対策を講じるべきである。

[1] 国公立大学、公的研究機関などの知的財産関連費用については、十分な経費を確保すべきである。また、私立大学等については、企業等からの寄付の取り扱いにおいて税制面等の制約があり、そのあり方について見直すべきである。
[2] TLO 等の大学の知的財産事務処理体制の整備、特許流通アドバイザーや産学連携コーディネーターの活用等を引き続き推進するとともに、知的財産管理体制の強化を図るべく本年度より予算化された知的財産管理アドバイザー制度の効果的な運用を目指すべきである。
[3] 学内研究者の出願負担の軽減をはかるため、昨年から実施している学内発表にグレースピリオドを適用する制度の活用、論文を活用して簡単に出願できるパソコンソフトの利用等につき周知徹底を図る。
[4] 大学研究者の研究成果の管理については、これを機関管理に委ねることを原則とし TLO 等の組織体制の強化に努める。また、これに伴う税制等の問題について早急に対策を講じることが必要である。
[5] 大学と企業との共有特許については、本来当事者間での交渉に委ねるべきものであるが、企業での実施が行われない場合に第三者へのライセンシングを許容すること等を奨励し、特許の有効活用を促進すべきである。
[6] 政府の委託研究により開発された研究成果を開発者に帰属させることにより、研究開発及びその成果の普及と促進を図る制度を導入した産業活力再生特別措置法第 30条 (いわゆる 「日本版バイ・ドール」 ) については、なお我が国での普及が遅れており、関係省庁での適用の拡充を図るべきである。
[7] 国家公務員倫理法の厳格な運用が、国立大学教官の産学連携への取組を萎縮させているとの指摘もなされており、産学連携の実態を踏まえた運用ルールの一層の明確化が必要である。

(3) 企業の知的財産活動に関わる改革

従業員の創造力を発揮させるための職務発明制度については近年多くの企業においてその改革がはかられつつある。政府関係機関においても、特許料収入の 1/4 を総額上限なしで発明者に還元させるという産業技術総合研究所の改革が一つのガイドラインになりつつある。これらを踏まえて、特許法の改正の必要性の有無等、最適なシステムを幅広く検討すべきである。なお、我が国企業の実力に比し、高付加価値化の源泉の一つであるブランド・デザインの活用が進んでおらず、なお企業による改革の余地が大きいと思われる。そのあり方については今後さらに検討する。

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2 迅速かつ的確な権利登録と強固な保護

(1) 迅速かつ的確な権利登録

研究開発を重複なく的確に進めるには、特許情報の迅速な提供が必要である。また、先端技術の進歩に則して特許審査基準の明確化と国際調和による混乱の防止が重要である。さらに、得られた研究開発の成果を迅速的確に審査する体制の整備は強い権利確保の必須の条件である。このため、関係機関の機能強化などに関する以下の対策を講じるべきである。

[1] ライフサイエンス、IT 等技術革新の速い先端科学技術分野において、大学の研究者等に内外の特許文献や特許出願状況についての情報を早期に提供するシステムを整備すべきである。また、IPDL (特許電子図書館) の性能の向上を図り、大学、中小、ベンチャー企業の研究開発、出願をサポートする体制を強化すべきである。
[2] ライフサイエンス等の先端技術分野における審査基準については、特にポストゲノム時代の研究の進展に対処し、特許対象や審査基準を早期に明確化し、国際調和への努力を傾注すべきであり、研究者と緊密な意見交換を行う体制整備を推進すべきである。
[3] 特許審査については、旧に比しその審査スピードは大幅に改善してきたが、近時の急激な審査請求件数の増大から、滞貨の急増が憂慮される状況が出現しつつある。欧米においても出願の急増は共通の現象となっており、審査官の確保が急務となっている。引き続きアウトソーシングの拡充、出願者による先行技術の開示等に努力するとともに、欧米に比し相対的に極めて少ない審査官数の増加が不可欠であり、定員の確保に努めるべきである。
[4] 我が国の特許出願構造は、欧米に比し特許率の低さや外国出願比率の低さが特徴となっており、企業等の戦略的な知的財産管理を推進し、こうした出願構造の是正に資する施策についての検討も行うべきである。
[5] 大学、中小、ベンチャー企業の早期権利取得を推進するため、早期審査制度の活用につき周知徹底を図るとともに、技術進歩の速度、ユーザーニーズに柔軟に対応した審査体制を構築すべきである。

(2) 強固な保護

[1] 知的財産関連訴訟の改革知的財産関連訴訟については、審理期間の短縮化など司法面の改革が進展しつつある。引き続きア) 訴訟手続きの見直し等、司法制度改革推進計画の実現、イ) 東京、大阪地裁について事実上の知的財産裁判所とするなどの体制整備、ウ) 訴訟と審判制度の関係の検討、エ) 裁判外紛争解決機関の強化を推進する。
[2]

侵害への懲罰の強化

米国においては悪意の侵害に対しては三倍賠償制度が定着しつつあり、また、欧州においては模倣行為は文化的恥辱との意識が深く形成されている。我が国においても模倣排除への強い国民意識の形成が必要であり、悪質な侵害行為に対しては厳しい罰則の適用、公的機関による取引の停止措置の実施などを早急に検討すべきである。

[3]

営業秘密の保護強化

営業秘密の侵害については、工業所有権四法に規定される救済措置や 欧米の刑事罰の規定等を参考にしつつ、不正競争防止法による民事・刑事両面からの保護強化を検討すると同時に、情報窃盗罪についても検討する必要がある。

[4]

模倣品・海賊版等の対策の推進

模倣品・海賊版・育成者権侵害品といった知的財産権侵害製品の問題については、我が国企業や権利者の被害が拡大・深化している。当合同会議は、中間報告において国際ルールに基づく権利侵害国、地域に対する交渉の強化、業種横断的な民間企業の連携促進等の総合的な対策を講ずるよう政府に要請したところである。 それらの成果は去る4月16日発足の「国際知的財産保護フォーラム」の結成等に結実しつつある。引き続き問題の深刻化に鑑み、関係者の問題解決に向けた一層の努力を要請するとともに、関係省庁のさらなる連携による体制の整備を図るべきである。

[5]

知的財産制度の国際的な調和と協力の推進

インターネットの出現・普及の下で、知的財産権の侵害は国境を越えて進展している。このため、特許等の出願は多くの国に行う必要があり、爆発的な国際出願とそれによる重複審査、コスト負担の急増が見られる。また、著作権については、パソコン 1台あれば誰でも違法に複製しインターネットを介して簡単に流通させることができる状況が生じている。このため、実体特許法条約等への貢献、著作権の国際的保護システム整備に向けた貢献、ASEAN + 3 等アジア特許庁等との連携等について、我が国が積極的貢献を行い、情報化、国際化時代の知的財産権の国際的保護整備を推進すべきである。

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3 商品化・製品化を通じた活用と社会への還元

我が国は米国につぐ膨大な特許登録を有するにもかかわらず、その活用が充分とは言えない状況である。また、そもそも特許の出願・取得の段階で、競争力のある発明への絞り込み、いわば、「選択と集中」が充分に行われているかどうかも疑問である。それは欧米に比し相対的に低いライセンス料、膨大な未利用特許の存在、特許流通にかかわる資金市場の未発達などに現れている。このため以下のような改革が必要である。

(1) 企業の戦略的対応

企業による特許の取得・管理の戦略的対応を促すことが必要である。また、人材の流動化や事業のグローバル化を背景に、営業秘密が競合他社に漏洩したり、技術がアジアに意図せずして流出しており、それらを活用した事業展開の妨げとなっていることから、企業による営業秘密や技術の管理強化を促す。このため、参考となるような指針を作成すべきである。

(2) 知的財産の流通の促進

我が国特許の 3 分の 1 がいわゆる休眠特許といわれる状況にあるとされる。我が党はかねてから、特許流通事業の展開を図るべき旨主張してきたところであり、政府支援による特許流通事業においては、これまで休眠特許を 1400 件以上も実施に結びつける実績をあげてきている。コスト的にも、民間の特許流通サービス業が成立しうる分岐点に近づきつつある。従って、かかる民間活動を喚起するべく、特許流通事業の展開をさらに活発化させるべきである。

また、ブロードバンド時代の到来をむかえ、多種多様で高品質のデジタルコンテンツの円滑な流通を促進するため、関係省庁が連携をとり、著作権の契約システムの構築等具体的な対応策を講ずるべきである。

(3) 知的財産権の証券化への試行

大企業からは、自社特許を資産として有効活用するニーズが高まっており、ベンチャー企業や中小企業からは、特許やアイディアを利用して、事業化に必要な資金を調達することが期待されている。現在でも、エクイティ投資や知的財産を担保とした融資制度が存在するが、これらに加え、知的財産そのものを投資対象とする証券化、信託制度の構築を検討すべきである。

(4) 知的財産のディスクロージャー

投資家向けの広報等において、自社の知的財産に関するディスクロージャーを行っている企業は少ない。知的財産に関する情報の開示は、環境活動に関する情報の開示と同様に、市場の判断を通じて、企業価値の増大に貢献するものと考えられ、企業としても一層のディスクロージャーを検討すべきである。また、こうした企業の取組に資するような指針の策定を検討すべきである。

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4 知的創造スパイラルを支える人材基盤

(1) 国民意識の改革

知的財産に関する国民意識もなお希薄である。創造性を尊重し、模倣を排する精神は若くして形成されねばならない。我が党の提言に則り、政府は、学校における知的財産教育のため、数種類の副読本を作成、配布しているが、より広く国民一般を対象として、知的財産意識の高揚を図るべく、努力を強化するべきである。一方、広く、深く、国民に知的創造スパイラルへの基本理念を涵養するには、後述する基本法の制定が不可欠である。

(2) 知的財産関連専門人材の育成

米国の知的財産制度は多くの特許弁護士によって支えられている。我が国でも知的財産に関する専門人材の育成は急務であり、近年、2度にわたって弁理士法の改正を行ってきたところである。加えて、中期的には検討中の法科大学院の創設により知的財産に強い法律専門家の大量育成が期待されており、以下のような改革が必要である。

[1] 法科大学院における教育内容については、知的財産関連の科目の導入や当該分野に強い大学院の開設など各法科大学院が、創意工夫により、専門性を活かした人材を輩出することができるような制度設計とすべきである。 さらに、司法試験の科目・内容の検討にあたっては、法科大学院の教育内 容を十分に踏まえたものとし、知的財産関連法を選択科目とするべきである。
[2] 大学等における知的財産講義の充実をはかり、研究者における知的財産マインドの涵養を図るべきである。

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5 知的財産戦略大綱の策定と知的財産基本法の制定

本合同会議は上記の提言につき政府において速やかに実行することを要請する。その際、政府における 「知的財産戦略会議」 は 6月中にもその報告を行う予定であり、同戦略会議においては「知的財産戦略大綱」が策定されることとされているが、その際、当合同会議の提言項目についても 3 年以内の行動計画が示されることを期待する。なお、本合同会議においても引き続きアクションプログラムにつき検討を継続することとする。

また、知的財産にかかわる課題は我が国の変革の中枢にかかわるものであり、行政はもとより司法、立法の様々な側面からの検討が必要である。とりわけ国民において知的創造スパイラルの意識を涵養することは不可欠であり、このため知的財産基本法の制定をすすめることとし、次期国会での成立を目指して検討を開始することとする。


平成 14年 5月 16日
・政務調査会経済産業部会知的財産小委員会
・司法制度調査会知的財産権の法的保護・特許裁判のあり方に関する小委員会
・知的財産制度に関する議員連盟
合同会議

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